住み続ける-その②
離島に住むにあたって、
期待を持つことも大事なのかなーとは思います。
ゆったり流れる島の時間。
美しい海や自然。
御蔵で言えば、ここにイルカたちが加わるでしょうか。
それらは期待通りのものがあると思います。
そこにプラス。
その地域が経てきた「歴史を基にした価値観」というものが自分の生活へと重なります。
個人的には、この価値観の違い、当初は本当に驚くことばかりでした。
良い悪いではなく、ほんとうにただ、「違う。」んです。
その差の幅というものが、わたしにはとても大きく感じました。
こと、仕事の価値観の違いは、正直言ってびっくりしたりがっかりしたりの連続でした。いまだに、団体に属する仕事に関しては考えることが多々あります。
それでもここで書けるのは、わたしからその都度、相手の方へ直接話しているので、特に悪口でもないかなーと思っているからです。
「価値観の違い」=最初は、郷に入っては郷に従ってみる。
たとえばホームヘルパーの仕事でもそうなのですが、
物の位置一つとっても、ヘルパーがたとえどんなに(もっとここに移動した方が良いのに)などと思っても、掃除したあとは絶対に、利用者の物は必ず元と同じ位置にきっちり戻します。
それは、利用者自身のそれまでしてきた生活の結果、そういう位置に置いてある・置いてあるのかもしれないからです。
決して、利用者のごくごくごく一部分をヘルパーが見て、判断・想像し、変えることありません。
昔、世田谷の女性のお家にヘルパーに行っていた時、週2回お邪魔するお宅でしたが、週1回はレースのカーテンをお洗濯していました。
ずいぶん頻繁にお洗濯するんだなあーと思っていました。
そのうちお話しをいろいろ聞いていると、その方が、
「孫が小さい頃、このカーテンがゆらゆらゆれるのを触っては、よく見ていてねえ〜。だから、カーテンはきれいな方がいいと思ってね。」
と嬉しそうに話されたのです。
その方のお孫さんは当時大学生で、もうカーテンを揺らし遊ぶことはありません。でも、カーテンをきれいにしておくのはその方にとって、嬉しい思い出を持ち続ける行程でした。
決してヘルパーは
「そんなに洗わなくっても大丈夫ですよ。」
などとは言わないのです。
村での価値観の違いで言うと…例えば、
デイサービスの現場、利用者の前で職員が携帯電話で話していることがありました。
私としては、利用者=どんなに元気であっても、目を離してはいけない存在。
仕事中は私的通話しない。そもそも現場では個人の携帯電話は持てない。
という感覚だったので、ほんとうにびっくりしました。
携帯でその仕事中に、話す必要があるのはなぜか?
まず聞いてみると、島を出るときのヘリコプターの予約の電話をかけていたのでした。
ヘリは島民の大事な「足」。予約が取れないと、本当に出島したいときに出られず、島民にとっては最優先・重大事項なのでした。
…なるほど。
ヘリ予約が重要なのはわかった。
でも、私は介護現場を最優先としたい。それにはどうしたらいい?
ヘリ予約は、必ずしも本人が電話しなければいけないのではないとのことでした。
なので上司や他の職員と話し合い、ヘリ予約が必要なときは、現場の職員ではなく事務職員が代わりに電話をかけることを提案。
そして現場の職員の携帯電話は、現場には持って入らない事を決まりとしました。
…ということもありました。
ただ。それを私が提案したのは、すぐではありません。最初に通話しているのを見かけて3ヶ月は経ってのことです。
私自身、最初はそこまでする(現場で利用者の前で通話するなんて、どんな理由があるのか?と)まず行動が理解できず、ヘリ予約の重要性の理解も深くはわからなかったのです。
とにかく事情がよくわかるまでは、変えることの提案はせずにいました。
それで様子を見て、どうしたってこれは変えた方がいいだろう〜という事をヘリ予約以外でも、徐々に話しました。
最初は、信じられない受け入れられないような違いでも、一旦は受け入れてみる。
生活をしてみて、いろいろな人からよく話を聞いて。
それでもまだ自分の主義に反する事だったら、直接ストレートに話をする。
これが、ストレスにもならず、いい結果になると思っています。
責めるでもなく、直接伝えるということがポイントだと思います。
こういう小さな村社会では、自分の意見を言うことは遠慮しがちだけれど、面と向かって正直でいる方がよっぽど伝わるし、実は!ほんとうに結果良好なのです。
こう言ったらこう思われるかも。
とか
わがままに思われるかも。
とか。
信じられないかもしれませんが、そうしたことは、あなたの妄想です。
確認しましたか?
相手に。
直接、人から言われていないこと
や、
直接自分が相手に言っていないこと
は、
想像・妄想に過ぎないのです。
この点だけ気を付ければ、耳に入ってくる話は良い意味で、「はなし半分に冷静に」聞けて、何も気にならなくなります。
そして、村の暮らしがさらに面白くなると思います。